お客様に聞く – オリオン食堂

オリオン食堂

写真左:相良和彦氏(オリオン食堂)、写真右:矢島大輔(興和サイン)

東京都豊島区東長崎にある「オリオン食堂」は、現在、数々のメディアで紹介されている人気ラーメン店だ。店主の相良和彦さんは、脱サラの上、たったひとりで店舗の外装、内装、そして看板まで作り上げたというこだわりぶり。そのオリオン食堂が、2008年、興和サインに立体看板の制作を依頼した。立体看板への想いをくわしくお聞きした。

オリオン食堂とは? ~ 手作りの店、手作りの看板ではじめたラーメン店
  • ― オリオン食堂についてご紹介ください

    2001年、私が36歳のときに脱サラしてはじめたラーメン屋です。
    それまでは、私立中高一貫校で数学の教員をやっていました。
    最初は素人の手探り状態でしたが、現在は、テレビや雑誌に取り上げていただき、おかげさまで忙しい毎日です。

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    一番人気の「特煮干そば」(750円)

  • ― なぜ教員をやめてまで、ラーメン屋をはじめようと思ったのですか。

    教員時代、自分の生徒たちに「たった一度の人生を、悔いなく自分らしく生きろ。そのためにも、本当に大好きだと思える仕事を見つけなさい」と教えていました。
    でも、そう言う自分はどうなんだろう…と自問する日々。もっと自由な発想で、やりたいことを好きなだけやれる仕事をしたい、そう思っていたんです。
    36歳になったとき、教員をやめました。そして、もともと好きだったラーメンで起業しました。

    ゼロからのスタートでしたが、とにかくこだわりぬこうと決めました。ラーメンだけでなく、店そのものにも自分の発想をこめたい。ホームセンターで材料を買い込み、6ヶ月かけて、外装も内装もほぼひとりで手づくりしました。最初にかけた看板も、もちろん手作り。ロゴのデザインも私のオリジナルです。

  • オリオン食堂

    手づくりで開店した当時のオリオン食堂

オリオン食堂は、興和サインでどんな看板をつくったのか。

― 今回、興和サインでつくった看板について教えてください。

自分でつくったロゴと、キャラクターがあったので、それをもとにデザインを修正してもらい、立体看板をつくりました。高さ1.2m、幅3m、厚み最大25cm。自慢の巨大看板です。

オリオン食堂

オリオン食堂

オリオン食堂

初代手づくり看板にかけた想い

― 開店当初の看板は、ご自身でつくられたとのことですが。

業者に頼むことも考えましたが、それでは看板に魂が宿らない。やっぱり自分で作ることに決めました。
看板のほかには、なんの宣伝もしませんでした。ただひたすら、作業に没頭していただけでした。

― 仕上がった看板をお店に掲げたときは、どんなお気持ちでしたか。

それが、仕上がってみると、さみしいもので。店も看板も、いつのまにか文化祭の大きなアトラクションをつくっているような感覚になっていたんです。店や看板をつくっている過程が楽しすぎて「完成しないでほしい」と思ったほどです(笑)
しかし、その看板も、開店4年目の改装でとりはずしてしまいました。

― なぜとりはずしたのですか。

安全面に不安があったからです。万が一、落ちて人に当たりでもしたら…。しばらくは、看板のないまま営業をつづけました。

オリオン食堂

看板のない時期は4年以上つづいた

なぜ、プロの看板屋に依頼しようと考えたのか。
  • 2001年、私が36歳のときに脱サラしてはじめたラーメン屋です。
    それまでは、私立中高一貫校で数学の教員をやっていました。
    最初は素人の手探り状態でしたが、現在は、テレビや雑誌に取り上げていただき、おかげさまで忙しい毎日です。

  • オリオン食堂

    ラーメン職人という枠にはおさまりたくない

― 今回の立体看板は、なぜ手づくりではなく、看板業者に依頼しようと思ったのですか。

オリオン食堂のブランド化戦略の一環です。
「町のうまいラーメン屋」から、「東長崎発・オリオン食堂」というブランドに変化させ、事業展開したいのです。
そのためには、下手な手作り看板ではなく、プロが仕上げたシンボルマークが必要だと考えました。

― 具体的には、どのような事業展開をお考えですか。

現在はネットで通販をやっていますが、今後は、Tシャツやぬいぐるみなど、キャラクターグッズなども展開したい。オリオン食堂ブランドの調理器具も計画中なんです。
ラーメン職人という枠にはおさまらず、自分の発想に正直に行動したいと思っています。

看板会社選びの基準

― 看板会社選びの基準を教えてください。

デザイン力です。自作のロゴをうまく生かしてほしかった。
そして、立体造形ができること。通行人の目にとまるよう、ドカンと飛び出したインパクトのある看板にしたかったんです。

インターネットで看板会社を検索しました。単純なネオンや平面の看板が多いなか、興和サインの立体造形には目を奪われました。特に、ハンバーガーと、猫の看板がいいと思いましたね。
これだと思い、すぐに決めました。

オリオン食堂看板のコンセプト

― 今回の看板について、くわしく教えてください。

  • ◆ロゴ
    担当デザイナー矢島くんに、自作のロゴを「シャープにしてほしい」と頼みました。
    びしっと引き締まった印象にしたくて。「縁取りは黒」とか「もっと力強く」とかいろいろ注文をつけましたね。

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  • ◆サイズ
    最初はもう一回り小さくなる予定でした。でも、矢島くんから「店の顔なんですから、できるだけ目立ってインパクトをつけましょう」という提案がありました。
    巨大すぎやしないか、と思いましたが、結果的に、やってみてよかった。私が考えていた枠を、さらにこえたすばらしい看板になりました。

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  • ◆猫のオリオンと三ツ星
    店のキャラクター「オリオン」です。グッズとして販売するつもりなので、特にこだわりました。
    目、鼻、口のバランス、前足は何度も修正してもらいました。しっかり仕上げておけば、小物としてのクオリティもあがります。
    三ツ星は、金色にするつもりでしたが、「想像している発色にはなりませんよ」と言われ、光沢素材の入った黄色で塗りました。

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  • ◆ドラゴンキャットボール
    うちの社章「ドラゴンキャットボール」です。これも立体にしてくれと頼みましたが、「ロゴがかなり飛び出しているので、これを立体化しても目立たないし、意味がありません」と…。矢島くんは冷静です。でも、はずすのは惜しいので、隅に描きました。

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  • ◆自分でとりつけたクリップライト
    自分で取り付けました。
    立体看板の良さは、光の反射で陰影ができること。煌々と照らして、仕事帰りのサラリーマンにアピールしたいですからね。

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担当デザイナー 矢島より

担当デザイナー 矢島今回のように、すでに出来上がっているロゴやキャラクターを、そのイメージを壊すことなくアレンジする、ということは、僕たちデザイナーにとってとても難しく、でも、やりがいのある仕事です。
相良さんがお持ちのイメージを正確に把握するため、お打ち合わせは綿密に行いました。
技術的には、今回は、三ツ星の部分にだけクロマカラーという角度によって光沢の出る塗料を使いました。また、看板は「汚れない」ことも大切です。そこで、光触媒でコーディングし、掃除をしなくてもきれいな状態を保てるようにしました。

通行人が看板を見て立ち止まるように
  • ― 立体看板を取りつけてから、効果はありましたか。

    通行人が、看板を見て立ち止まるようになりました。
    携帯で写真を撮っていく人もいますよ。
    おかげで、通りすがりの人がまた立ち止まり、お店に入ってくれるというパターンも生まれています。
    ラーメンマニアのブログに「この看板すごくかわいい!」「こだわりを感じる」なんて書かれているのも読みました。
    ラーメン以外にも楽しみを感じてもらえてうれしいですね。

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    雑多な商店街でよく目立つ存在

興和サインへの評価

― 興和サインへの評価をお願いいたします。

うちのような完全オリジナルの立体看板を実現できるのは、興和サインしかありません。
アクションが早いのもいいですね。営業マンがいないので、矢島くんと直接やりとりができる。デザイン案も、スピーディーに仕上がってきました。
自分の性格上、もっともっと事務所へ足を運んで、現物を見ながら作戦を練りたかったのですが、メールで頻繁にやりとりできて便利でしたし、仕上がりもイメージしやすかったので満足です。

― 担当の矢島については、いかがでしょうか。

矢島くんは、一見クールな印象がありますが、実は押しが強くて、ゆずらないんですよ。
ドラゴンキャットボールの立体化なんかは、「お願い、やってよ!」と押し切って、「じゃ、やっちゃいましょうか」と返事がくるのを期待してたんです。それが、冷静に「意味がありません」と断られたんだから、参ったよね(笑)
でも、そこが、彼の信頼できるところ。実態に即して、正直な意見を言ってくれる。腕に自信を持った職人なんだと思いましたよ。その自信に見合ったデザイン力もある。今後も期待しています。

相良和彦が語る、看板作りのアドバイス

― 手づくり看板も、立体看板もつくってみた相良さんだからわかる、看板作りのアドバイスなどがあれば、お願いいたします。

どうせ看板をつくるなら、やっぱり、唯一無二の創作看板。これに尽きるでしょう。
手づくりも独創性はあるけど、自分でできる程度のものは、人にマネされてしまう。その点、今回のような立体看板は強い。
あとは、看板にどれだけ魂をこめられるかの問題。つくると決めたら、24時間ほとんど看板のことを考えていましたね。看板はすべての集約。真剣にならないと。

― 興和サインは、どんな人に向いている看板会社ですか。

とにかく「抜きん出て一番になりたい」と思う人に向いていますね。
興和サインは、立体も、スタンドも、浮き出した文字も、巨大なものも、小さなものも、とにかく想像したものが何でもできる看板会社。世界でひとつの看板をつくって、一番になってください。

今後の期待

― 今後の期待をお聞かせください

  • 「看板に、もっと思いを入れてください!」なんて教育してくれる、熱い看板会社として、ますますがんばってほしいですね。
    すごい看板をつくっても、肝心の中身が悪けりゃ意味がない。看板だけがいい店なんて、次から入ろうと思わないんだから。
    これからも、店主のアイデンティティを象徴する、すごい看板づくりを期待しています。

  • オリオン食堂

    「抜きん出て一番になりたい」と思うなら、
    興和サインがいいでしょう」

担当デザイナー 矢島より

担当デザイナー 矢島今回は、打ち合わせから始まり、現場調査、見積作成、デザイン、看板制作、現場施工まですべてを担当させていただきました。ですので、施工後の相良さんの喜んだ顔を拝見したときはとても嬉しく、達成感を感じることが出来ました。今後もお客様の笑顔が見られるような仕事ができればと思います。

オリオン食堂様、
本日はお忙しい中、
貴重なお話をありがとうございました。

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